小ネタ イタサス | ナノ
膝の上の温もりは決して小さくはないもので。
嗚呼、寝てしまったのか。

膝の上に眠る弟は、起きている時よりもずっと幼い。
規則的な寝息さえも愛おしくて、頬に垂れてる髪をさらりとながす。一瞬、小さく動いて、ん、と声を漏らしたものの、起きる気配はなく、ほっと息をはく。

目の下にはうっすらと隈が出来ており、弟のここ最近の疲れを反映している。
少し痩せたかもしれない。
今年高校に入った弟は、部活やら勉強やらで切羽詰まってるようだった。部屋の明かりが消えるのは深夜。朝は早く起きて家を出る。会話はろくに出来ない。寂しくないと言ったら嘘になるけれど、それよりも心配だ。

今日は中間試験が終わったらしい。テストが終了したことへの安堵からか、何かが吹っ切れたかのように眠ってしまった。俺の膝の上に頭をのせて。

月明かりが惜しみもなく部屋に入り込む。綺麗な綺麗な満月が、俺等を温かく見守っていてくれてるようで安心する。

弟の髪をそっと撫でて、夜の空にそっと輝く月を見上げた。

おやすみなさい、良い夢を