狂愛【N/国/アル菊/完】 | ナノ







こんな事したい訳じゃなかった。


本当に?


お前は本当はこうしたかったはずだよ。


頭の中で鳴り響く声が、理性を狂わせる。


いや、もう狂ってしまったのか。


それとも元から狂っていたのだろうか。




目の前で血まみれで倒れている男の頬をそっと触れる。


冷たい。


この男は死んでしまったのだろうか。


もうあの笑顔は見られないのだろうか。


そう思った時、倒れている男の目元に雫が落ちてきた。


雫は流れ落ちて、まるで男が泣いているように見えた。


雨が降ったのかと空を見上げるが、憎らしい程の晴天で雲一つない。


ならば、この雫はどこからだ。



「おい」



不意に背後から声がかけられた。


振り返れば、男の眉がしかめられた。


「何泣いてやがんだ。アメリカ」


アメリカ?
そうだ、それが俺の名前


泣いてる?
そうだ、この雫は俺が流した涙


そして目の前で倒れている男―――


それは





俺は大きく息を吸い込んだ。





「日本軍全滅により、この戦争は我等米軍の勝利となった!!」


沸き上がる歓声の中、ぐったりと血まみれの日本の手にキスを落とす。






日本、狂おしい程愛してる






■後書き■
サイト名よりお話を衝動書き
これも一つの愛の形だと思います