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「伊織、なんだよあいつ」
楠木くんが出ていった後、上から不機嫌そうな狼の声が降ってきた。
「風紀副委員長の楠木くんだよぉ。知らないのー?」
「・・・そういうことじゃねぇよ、馬鹿」
「狼、嫉妬してるんだよね。副委員長が伊織ちゃんと仲良さそうだったから」
不機嫌そうな狼の様子に首をかしげると、蓮が楽しそうに説明してくれた。
「ああ、心配する必要ないよー。だって楠木くん恋人いるしねぇ」
「「え?!」」
蓮の説明を聞くと俺はけらけらと笑ってそう言った。すると、二人は同じ反応で俺を見た。
「知らないのー?結構有名だけどなぁ、楠木くんと保険医が付き合ってるって」
「保険医って、あのおっさんだろ」
「そうそう。白井さん。素顔めっちゃイケメンなんだよぉ」
楠木くんの恋人、白井先生はこの学校の保険医。ルックスはむさ苦しく、無精髭を生やしているマダ男だが、それなりにきっちりとした格好をするととてもイケメンなおじさまなのだ。
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