「あれ?榎並くん?」


みんなからお菓子をもらったりジュースをもらったりしてくつろいでいると、この場には似合わない人物が俺の名前を呼んだ。


「あれぇ?楠木くんじゃーん。なにしてんのぉ?」


不良ばかりのFクラスに顔を覗かせたのは、風紀副委員長の楠木くんだった。


「それはこっちの台詞だよ。ほんとにFクラスと仲いいんだね」


楠木くんは不良たちに怯えることなくずかずかと中に入ってくると俺の前にやって来ていつもの優しい微笑みを見せた。


「だってここの人たちいい人ばっかりなんだもん」

「ふふ、やっぱり榎並くんはおもしろいね」

「そうかなぁ?それより、楠木くんはなにしにきたのぉ?」

「榎並くんがここにいるって聞いてね」


楠木くんから帰ってきた答えに俺はきょとんとして楠木くんを見つめた。


「委員長だよ。あの人、相当榎並くんのこと心配みたいでね」

「げぇ、また萩岡先輩なのぉ?あの人苦手ぇ」

「うちの委員長が迷惑かけてごめんね。委員長には問題ないって伝えとくね」


楠木くんは困ったように笑うとそう言って、俺の頭をポンポンと軽く叩いて去っていった。



 


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