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「室井 美空(むろい みく)だ!よろしくな!」
マリモ・・・転入生が俺のクラスにやって来た。
ボッサボサで全く顔が見えない如何にもカツラな髪に眼鏡をかけていて、如何にもオタクルック。
「アイちゃーん」
「うっわ、ナニアレ。気持ち悪」
俺が前の席に座っているアイに声をかけると、アイは最早キャラも忘れて素でそう呟いていた。
そして、なぜかマリモは俺の横の席にやって来たのだ。
「なあ、オマエ名前教えろよ!!」
「え、・・・内緒ぉ」
マリモの見た目には似合わない強気で上からな発言に驚いた俺は、苦笑いでそう言った。
「なんでそんな意地悪言うんだよ!!」
「別に意地悪じゃないんだけどなぁ、」
「じゃあ、教えろよ!!」
「・・・榎並 伊織だよー」
「伊織だな!俺のことは美空って呼べよ!!」
俺が諦めて名前を教えると、マリモは嬉しそうにそう言った。
もう、クラスのみんなも俺も唖然。
「伊織って綺麗だな!」
「うん、知ってるよー」
「あ、オマエも可愛いな!名前教えろよ!!」
すると、マリモくんは今度は俺の前の席にいるアイに標的を変えた。
俺はその瞬間に逃げるように教室から出たのだった。
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