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「伊織、コーヒー」
二時間ほどたった頃、会長が俺にそう言ってきた。
その瞬間、俺が少しムッとしたのは仕方ないことだと思う。
「・・・はぁい。頼とふくかいちょーも飲む?」
「はい、お願いします」
「オレンジジュース!」
「はいはぁい、」
大人な俺は怒りをなんとか抑えて笑顔を作り、緩い返事をして給湯室に向かった。
マリモが来る前に戻ったみたいでうれしいんだけど、やっぱりぎこちないよね。
「はぁい、お待たせぇ」
全員分の飲み物を淹れてみんなのいる部屋に戻ると、全員の机に紅茶を置いていった。
「かいちょー、お待たせしましたぁ」
会長のところにコーヒーを置いて自分の席に戻ろうとしたが、それは敵わず会長に腕を捕まれて止められた。
「わっ、・・・なぁに、かいちょー」
「伊織」
「離してよぉ」
俺がやんわりとそう言っても会長は俺の腕を離す気配はなく、むしろ力が強くなっている気がする。
「・・・あ、」
どうしようか悩んでいるとポケットに入れていた携帯が鳴り響き、画面を見ると狼からメールが来ていた。
『来いよ』
その一言だけだったが、ここを抜け出せるとわかった俺は一気にテンションが上がった。
「伊織?」
「ちょっと行ってくるねぇ?きゅうけーい」
「は?ちょっ、いおっ!?」
会長の手の力が一瞬緩んだ瞬間に俺は会長の手を振りほどいてみんなにそう言い生徒会室を出た。
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