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「お前さァ・・・俺がお前にどんだけ惚れてんのかわかってんだろ?」

「・・・ん、」

「騙されたと思ってさ。付き合おうぜ?損はさせねェよ」

「・・・、」


知ってる。狼が俺のことをどれだけ大事にしてくれてるかはよく知ってる。
けど、俺は人が変わってしまう瞬間をこの目で何度も見てきた。だからこそ、怖い。


「伊織ちゃん」

「・・・れん、」


すると、今まで黙ってことの成り行きを見ていた蓮が口を開いた。
それはとてもとても優しく、まるで小さな子供に言い聞かせるように。


「この世にはちゃんと変わらないものもあるよ。証拠に僕はコイツとずっと友達だし・・・それに、伊織ちゃんと浪川くんもそうでしょ?」

「俺とアイ?」

「うん。ずっと一緒でしょ?」

「・・・うん。アイはずっと俺と一緒にいてくれた」



蓮の言葉に俺が頷くと、蓮は優しく微笑んだ。


「ね?ちゃんと変わらないものもあるんだよ。だから、狼のこと少しでもいいから信じてあげて?」

「・・・わかったぁ、」

「よし。じゃあ、とりあえずこの話は保留ね」


俺が頷くと蓮は俺の頭を撫でて、話を終わらしてしまった。
それにたいして不服そうにしている奴が若干一名いてるが、蓮に逆らえないのかなにも言わない。


「くそ・・・覚えてろよ伊織」

「何で俺なのさぁ、」

「はいはい、その辺にして食堂行くよ。伊織ちゃんもご飯まだでしょ?」

「うん」

「肉食えよ、肉」

「いやですー」


マリモの話を鵜呑みにした俺がバカだった。たとえ生徒全員に嫌われても俺には狼いるし蓮もアイもいてる。

俺は少し心が晴れた気がした。



 


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