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「狼」


生徒会室を出たその足取りのまま、俺は狼の部屋に来ていた。
突然やって来た俺に狼も蓮も驚いたような顔をしていた。


「どうした、伊織」

「・・・狼、俺のこと好き?」

「は?伊織、マジで何かあったのか?」


不思議そうに訪ねてくる狼に俺は近寄ると、いつもは絶対しないが、自分から狼に抱きついてそう問いかけた。

もちろん、狼も蓮も訝しげに俺を見ている。


「いいから答えてよぉ。俺のこと好き?」

「・・・当たり前だろ」

「じゃあ、抱いて?」

「・・・は?お前自分が何言ってんのかわかってんのか?」

「わかってるよぉ・・・ね、狼。シよ?」


俺の誘いに狼は一切答えず、眉間に寄っているシワをさらに深くして俺を力強く抱き締めた。


「そんなお前とヤりたくねェよ」

「っ、あは、だよねぇ。ごめんごめん。さっきの嘘だからぁ・・・ちょっといたずらしたくてぇ」


狼が真剣な声色でそう言ったのを聞き、正気に戻った俺はいつもの笑みを貼り付けて狼から離れた。


「伊織」

「ほんとごめんねぇ。お邪魔しましたぁ」

「伊織!」


早く狼から離れようと立ち上がって部屋を出ようとしたが、そんな俺の願いは虚しく、狼に抱き止められてしまった。


 


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