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「それにしても会長もイイ気味だよねぇっ!」
嬉々とした表情でそう言ったのは頼。
ただでさえ俺たちは注目されているのに、食堂全体に響くような声で言うもんだから会長の親衛隊が俺たちのことを睨んでいる。
「伊織!こんなところにいたのか!」
すると、俺たちのところにとてつもなく怒った様子のマリモくんがやって来た。
「なぁに?どうしたのー?」
「お前、臣に謝れよ!」
「はぁ?」
マリモくんは俺の方につかつかとやって来るとそんなことを言いやがった。
「意味わかんないんだけどー?かいちょーが俺に謝ることはあっても俺がかいちょーに謝ることはないんだけどー?」
「そんなわけないだろ!臣は優しいからお前と付き合ってくれてたんだ!なのに臣のことあんなフリ方するなんて最低だぞ!」
この子は何を言っているんだろうか?俺から会長に付き合ってほしいだなんて言ったことは一度もない。むしろ逆だし。
「てめぇ、いい加減にしろよ」
「お前も伊織のそばになんかいない方がいいぞ!伊織に利用されてるだけだ!!」
マリモくんが喋る度、俺は自分の頭が真っ白になっていくのがわかった。
パアンッ・・・!
そんな俺の意識を戻したのは、突如として食堂内に響いた乾いた音だった。
「・・・アイ、?」
「あんたに伊織の何がわかるの?伊織のこと何も知らないくせして知った口して伊織のこと語らないでよ!」
その方向を見ると、アイが目に涙を浮かべてマリモくんを睨んでいた。
相当怒っているのか食堂なのに親衛隊の口調を忘れてしまっている。
「藍!何すんだよ!俺たち親友だろ!?」
「っ、だれがお前みたいなマリモと親友になんかなるか!僕の親友は今も昔も伊織一人なんだよ!覚えとけ馬鹿!」
アイは言いたいことを言うと、呆然としている俺の手を引いてそのまま食堂を後にした。
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