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「伊織、大丈夫か?」
連れて来られたのは屋上で、狼は俺を下ろすとマリモくんに捕まれた俺の腕を見た。
そこにはくっきりとマリモくんの手形が。
「うわぁ、こわっ」
「くそっ、馬鹿力が・・・」
「狼、怖いよぉ」
俺に対する怒りじゃないとわかっていても狼に凄まれると怖い。殺気がね、ただ者じゃないんだもん。
「ああ、悪い」
「んー・・・大丈夫。それより、あのマリモどうにかしなきゃねー」
「生徒会室で仕事すりゃいいだろ」
「わかってるけどぉ」
教室に行くとマリモがいるし、生徒会室に行くと会長がいる。
うわー、俺ってば逃げ場ないじゃんねー
「・・・伊織、」
「ん、っ・・・ちょ、狼、!」
「何日お前に触れてねぇと思ってんだ」
「ふっ、ぅん・・・意味わかんないしぃ、」
狼はいきなり俺に後ろから抱きついてきたかと思うと、俺の顎を持ち上げて深くキスをしてきた。
俺は抵抗してるんだけど、狼のテクニックに骨抜きになっちゃうわけですよ
「はっ、ぁ・・・」
「伊織」
「んー?」
俺から唇を離したかと思うと、息切れしている俺とは正反対に余裕そうな狼が力が抜けた俺を抱き止めて声をかけてきた。
「お前、やっぱり俺のモンになれよ」
「またそれぇ?」
「お前が首を立てに振るまで諦めねぇよ」
「狼知ってるー?しつこい男は嫌われるんだよぉ」
俺がニヘラと笑ってそう言うと、狼も俺が冗談なのがわかったのか意地の悪い笑みを浮かべて「ばぁか」と言い俺の額に軽くキスをした。
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