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「伊織」
「ん?・・・あ、狼。どうしたのー?」
休み時間の度に話しかけてくるマリモくんにイライラしながら仕事をしていると、ある休み時間に狼が俺の教室にやって来た。
「迎えに来てやった。気晴らししに行こうぜ」
「うん、行くぅ。アイちゃんちょっと行ってくるねー?」
「お昼には戻ってきてくださいね」
「はぁい」
俺はアイちゃんにそう言って教室の入り口にいる狼の方に向かった。
アイちゃんが何も言わないということは、きっと疲れている俺の様子を見てアイちゃんが狼を呼んでくれたんだろう。
「待てよ!!」
「いっ、・・・なぁに?」
教室を後にしようとすると、後ろからマリモくんに腕を掴まれた。
ってか、マリモくん力強すぎるんだけど・・・痛いしぃ。
「どこ行くんだよ!?俺も一緒に行きたい!」
「却下ぁ」
「何でだよ!」
俺がマリモくんを拒否すると、マリモくんはそう怒鳴ってさらに腕を掴む力を強めた。
「手離せ」
「痛っ、!何すんだよ!」
「黙れ。行くぞ伊織」
「はぁい」
狼は俺の腕からマリモくんの手を離すと俺を軽々と抱き上げて歩き出した。
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