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「ろーう、何か飲み物ちょうだーい」
狼の部屋にやって来た俺は自分の部屋のように狼の部屋で寛いでいた。
「自分で取ってこいよ。冷蔵庫にこの前買ったやつ残ってんだろ」
「動くのだるいー」
「しゃあねぇなぁ」
狼はペシッとソファーに寝転んでいる俺の頭を叩くと、飲み物を取りにキッチンに向かってくれた。
「伊織ちゃん、会長と別れたんだよね?」
すると、床に座ってテレビを見ていた蓮が俺にそう聞いてきた。
俺は蓮のそんな言葉にはぁ?と首を傾げた。
「んー・・・どうなんだろうねぇ。だいたいもともと付き合ってるって感じじゃなかったしなぁ」
そう。もともと会長と俺は付き合ってるという雰囲気じゃなかった。甘い分析があったわけじゃないし、お互いの部屋に行き来したりしているわけでもなかった。
蓮は俺の返事に複雑そうな顔をするも、それからなにも聞いてこなかった。
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