「何処行くんや?」


萩岡先輩は全生徒のお兄さん的存在で、今も心配そうに俺にそう聞いてきた。


「風紀室ですよぉ。この書類、届けようと思ってたんですー」

「んな、俺が預かるから榎並ちゃんはもう寮帰り」


萩岡先輩は俺が持っていた書類を取ってそう言うと、ポンポンと俺の頭を撫でた。


「あ、せやせや」


萩岡先輩にそう言われて、とりあえず一度生徒会室に戻ろうと歩き出すと、萩岡先輩が俺を呼び止めた。


「・・・?」

「如月と東雲は「かいちょーもふくかいちょーもちゃんと仕事してますよぉ?生徒会室には来ないで自室でやってるんだと思いますー」


萩岡先輩の言葉を遮るように、俺はいきおいよくそう言った。

その言葉を言ってほしくなかった。
他の誰かからその言葉を聞きたくなかった。
わかってる・・・自分でもわかってるけど他人に言われると「ホントウ」になってしまいそうで嫌だった。


「榎並ちゃん・・・」

「じゃあ、俺帰りますねぇ」


俺は萩岡先輩の言葉を聞くことをせず、そのまま生徒会室に戻った。



 


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