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[side.浪川 藍]
ずっと背中を撫でていると、伊織はどうやら泣きつかれて眠ったらしい。
僕は僕より大きいはずなのに僕より小さい伊織の体を優しく抱きしめた。
「藍ちゃん・・・いお、大丈夫なのっ?」
すると、今まで静かに黙っていてくれた頼が心配そうにそう聞いてきた。
「大丈夫だよ。いつものことだからね」
「いつものことってどういうことだよ」
僕が困ったように笑うと、荒木が少し苛立ったようにそう聞いてきた。
自分より僕の方が伊織のことを知っていることが気にくわないんだろう。
「・・・伊織はね、ものすごく弱いんだよ」
「は?」
「今はそんなことないけど、僕の知ってる限りでは小さい頃の伊織はずっと泣いてた。大きな綺麗な目からボロボロと涙を溢してたの」
そう、それが小さい頃から今もかわらない僕の伊織のイメージ。
普段から馬鹿みたいにヘラヘラ笑ってるけど、僕にはそれがいつ崩れるのか怖くて仕方がない。
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