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ひなちゃんは言葉の意味が理解できないのか可愛くこてんと首を傾げた。
「ひな。ひなはカナがひな以外の子に優しくしててええか?」
「や!かなちゃんはひなのおにいちゃんだもん!」
「やろ?狼さんも伊織さんが他の人とちゅーしてんの嫌やねん。わかるな?」
「うん!」
俺が困っていると純也くんがひなちゃんを説得してくれた。
なんかすごいなぁ...ちっちゃい子だと難しい言葉とか使えないから説明するの大変なのに
そんなことを思いながらソフトクリームを完食し、ペロリと指についたクリームを舐め取った。
「ちっ...」
すると、俺の隣にいた狼が1つ舌打ちをした。
俺がその方向を見ると狼は携帯を見つめて何やら渋い顔をしていた。
「狼?」
「奏、悪いが先に帰る。これで雛姫になんか買ってやれ」
「え?あ、は、はいっ!」
狼は俺が名前を呼んだのを無視すると奏くんにそう言って万札を数枚渡していた。
受け取った奏くんは驚きながらも狼の言葉にしっかりと返事をしていた。
「ろーちゃん、いおちゃん、かえっちゃうの?」
「...悪いな、雛姫。また今度遊ぼうな」
「...うん!ひなちゃんとがまんできるよ!」
「いい子だ」
悲しそうなひなちゃんの頭を優しく撫でると、狼は俺の手を引いて歩き出したので俺は軽く三人に別れを告げて狼についていった。
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