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それから俺たちは買い物を堪能し、休憩のために近くのベンチに座ってソフトクリームを食べていた。
「いおちゃん、そふとくりーむおいしいね!」
「ふふっ、そうだねぇ」
もちろん、買い物の代金もここのソフトクリーム代もすべて狼が出してくれた。
「...伊織」
「なにぃ?...ん、」
「ガキみてぇなことしてんじゃねェよ」
「...言ってくれれば自分で取るんだけどぉ」
幸せに浸ってソフトクリームを食べていると唐突に狼に名前を呼ばれて、振り向いたと同時に狼の顔が近づいてきた。
どうやら俺の頬についていたクリームを舐め取ったらしい。
「甘ェ」
「文句言うなら舐めなきゃいいのにぃ」
「......いおちゃんとろーちゃん、らぶらぶ?」
眉をしかめて文句を言う狼にそう言うと、そのやり取りを見ていたひなちゃんがくりっと大きな純粋無垢な目でそう尋ねてきた。
「ひな!」
まあ、一応同じ学校に通っていて学校の特色を知っているか奏くんは慌ててひなちゃんの口を塞いでいた。
「んー...ラブラブじゃないけど、仲良しさんなんだよー」
「ひなもいおちゃんと仲良しさんしたい!」
「...えっとぉ、」
さすがにひなちゃんとそういったスキンシップをとるわけにいかず、俺は困って狼を見た。
「伊織は俺のだからダメだ」
すると狼は子供相手に何を言い出すのか、そう言って俺を後ろから抱きしめた。
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