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「あ、ひーなちゃんっ」
翌日、約束の場所に向かうと既にひなちゃんと奏くん、純也くんがいた。
ひなちゃんは俺に気がつくと嬉しそうに俺に飛び付いてきて、奏くんは俺を見たあとに俺の後ろにいる狼を見て驚いた顔をしていた。
「いおちゃん!」
「ひなちゃん、今日も可愛いねぇ」
「いおちゃんもかわいいよ!」
「あはっ、ありがとぉ」
ひなちゃんはふわふわの黒髪をてっぺんでおだんごにしていて、赤いリボンがついている。服装もおしゃれだがしっかり子供っぽさが出ていて可愛い。
「ひな、いおちゃんとでーとたのしみ!」
「俺もだよぉ」
そう言って俺に笑顔を向けるひなちゃんに同じように微笑んでから俺は狼のところに戻った。
「紹介するねぇ。これ、俺の知り合いの荒木狼っていうんだぁ。見かけより怖くないから大丈夫だよぉ」
俺がそう言って狼を紹介したが、やはり奏くんは怖いのか少し警戒していて、純也くんは確実に狼を睨んでいた。
「ろーちゃん?」
そんな中、狼に全く怯まなかったひなちゃんはてくてくと狼の足元まで歩いていって首をかしげた。
「...ああ」
「ひゅうがひなき、よんさいです!」
「ちゃんと挨拶できてえらいな」
「えへへ!」
狼がひなちゃんに優しく微笑んだのを見て俺はついつい驚いてしまった。
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