9
「もしもし、奏くん?」
『あっ、伊織さん!...こんな遅くにすみません』
俺が口を開くと電話の向こうにいる奏くんは本当に申し訳なさそうな口調で俺にそう言ってきた。
「大丈夫だよぉ。...それでね、明日俺も出かける予定があるからそれでもいいかなぁ?」
『あ、はい!ひなも伊織さんと会えるだけで嬉しいみたいなんで』
「俺もひなちゃんと奏くんに会えるの嬉しいよぉ。...あ、明日ね俺の知り合いもいるんだけど気にしないでねぇ?」
『え?あ、わかりました』
「じゃあ、明日の11時に駅前でぇ」
『はいっ。おやすみなさい』
「うん、おやすみぃ」
奏くんとの通話を終えて携帯を机に戻すと、案の定不機嫌な様子の狼がいて俺は思わずくすりと笑ってしまった。
[ 147/157 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top