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奥の一番偉そうなところに座っていたのは何ともダンディなおじさまと和風美人な女の人だった。
「伊織ちゃん、おはよう。よく眠れた?」
「...蓮、何でそんなに馴染んでるのぉ」
「ん?何が?」
「...もういいもん。」
蓮は常識人じゃなかったの?もしかしてこの場に馴染めてない俺がおかしいわけ?
「伊織、紹介しておく。俺の親父とお袋だ」
とりあえず狼から離れまいとぎゅうっと狼の服の裾を掴んでいると、狼がそう言ってダンディなおじさまと和風美人の女の人の方を見た。
「狼の、お母さんとお父さん?」
「ああ」
「初めまして。荒木 豪だ。よろしくね」
「初めまして。狼の母の由美です」
俺が首をかしげて聞き返すと二人は丁寧に俺に挨拶をしてくれた。
「あっ、えと...初めましてぇ...狼の......」
俺は慌てて自己紹介をしようと思い口を開いたが、そこで言葉を詰まらせた。
俺って狼のなに?友達って感じじゃないよね、セックスしてるし...セフレってのも何か違うしぃ。
「こいつは榎並伊織、俺の恋人だ」
俺が首を捻っていると、そんな俺に気づいたのか気づいてないのか狼があっさりとそう言った。
もちろん俺の目は点で、呆然と狼を見つめている。
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