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翌日、俺は誰も起きてないだろう早朝に浪川家を後にした。
一応起きてないか確認したけど、アイとルイ兄辺りは起きてそうだなぁ...
「......なにしてんのぉ、狼」
ゆったりとした足取りて寮の自分の部屋のある階まで来ると、部屋の前には銀髪のヤンキーがいた。
俺が声をかけると狼は顔を上げて立ち上がり俺に近づいてきたかと思うと、俺を力強く抱き締めた。
「狼さぁん?」
「...遅ェ」
「いや。朝イチのバスで帰って来たんだけどぉ」
「...伊織が足りねェ。ヤらせろ」
「却下ぁ。俺も疲れてんのぉ」
普通一週間ぶりに会ってヤらせろとか言うかなぁ?信じらんない
まあ、これでこそ狼なんだろうけど。それに必要とされてるみたいで安心する
「...とりあえず行くぞ」
「どこにぃ?」
「俺ん家」
狼はそう言うが早いか、浪川家から帰ってきたままの俺を担ぎ上げるとすたすたと歩きだした。
「俺、荷物とか何にもないんだけどぉ」
衣服類はもともとアイの家にあるの着てたから何もないし、持ってるのは財布と携帯くらいだ。
「後で買ってやる」
「はぁ?狼馬鹿ぁ?」
「黙っとけ」
「...はぁい」
久々の狼とのやり取りに見えないように頬を緩ませて、俺はそのまま身を委ねていた。
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