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「伊織」
「なぁに、アイ」
学校ではできないから久しぶりに一緒に寝ようということになり、俺は今アイと並んでベッドに寝転がっている。
「ほんとに荒木ん家行くの?」
「うん、行くよぉ」
「何で?荒木ん家に行くならここにいても一緒でしょ」
「んー.....ここは落ち着くよ?でもね、怖いんだよ。ここは近すぎるからねぇ」
何がとは言わなくてもアイならわかってくれるだろう。
俺はあえてアイ方を見ずに、アイに背中を向けて毛布を被った。
「...伊織」
「それにねぇ、狼の隣は安心できるんだぁ。俺ここにいてもいいんだって思えるの」
「...僕、伊織のこと好きだよ」
急に背中に温もりを感じ、それがアイなのだと理解すると自然と頬を緩めてアイの方を向いて抱き締め返した。
「俺も、アイのこと好きだよぉ」
いつもの「生徒会会計榎並伊織」の笑みで微笑んでそう言いながら心の中では「ごめんね」と呟いた。
きっと賢いこの子は気づいてるんだろうなぁ
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