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「ひな!」


歩き疲れて休憩がてら、ベンチに座ってソフトクリームを食べていると、ひなちゃんの名前を呼ぶ声が聞こえた。


「かなちゃん!!」


その方向を見ると、ひなちゃんは嬉しそうにそう叫んだ。
そこには見た感じ平凡の男の子と、俺の周りにはいない種類のイケメンの男の子がいた。

平凡の男の子はバタバタとこちらに向かって走ってくるとひなちゃんに抱きついた。

ひなちゃんのソフトクリーム、カップでよかったよね。コーンだったら確実にべちゃってなってたよ。


「ばかひな!一人で行くなって言っただろ!」

「だって、...いるかさんっ...」

「俺も純也も心配したんだぞ!」

「うえっ...うえぇええええんっ!!」


ひなちゃんは叱られるとみるみる大きな瞳を潤ませて、ついには大声で泣き出してしまった。


「...ひーなちゃん?」

「ぐすっ...いおちゃっ、...」


ひなちゃんが泣き出すと叱っていた男の子も困ったような顔をしていて、俺はついひなちゃんに声をかけてしまった。

ひなちゃんは俺が声をかけると泣くのを止めて俺を見た。


「泣いてもいいけど、お兄ちゃんにごめんなさいしなきゃね?お兄ちゃん、ひなちゃんのこと探してたんだよー?」

「......っ、かなちゃん、ごめんなさぁあいっ」


ひなちゃんは俺の言葉を聞くと、暫く俯いてから顔をあげてお兄ちゃんに謝った。


「俺も目離してごめんな、ひな」

「ううっ...じゅんくんもごめんなさぁいっ」

「ええよ。ひなちゃんが無事でよかったわ」


ひなちゃんのお兄ちゃんも見つかり、仲直りもできたようで一安心だ。


「伊織」

「...アイ?」

「僕も類兄も馬鹿もいるから大丈夫だよ」

「...なんでわかっちゃうかなぁ」


俺がひなちゃんたちを眺めていると、アイが俺の隣にやって来て俺の頭を撫でた。
俺が寂しいと思っていたことに気づいたらしい。...ほんとアイには隠しごとできないなぁ。


 


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