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「伊織、誘拐はだめでしょ」

「違うからぁ」

「伊織ちゃんの隠し子!?俺、それでも愛を持って育てるよ!」

「だから違うってばぁ」

「迷子かな?」

「そうだよー。さすがルイ兄ぃ」


ひなちゃんを連れて行くとアイとレイ兄はなんともすっとんきょうなことを言い出して、まともなのはルイ兄だけだった。


「お名前は?」

「.........」


ルイ兄がひなちゃんにそう聞くと、ひなちゃんはいきなり男三人の前に連れてこられて怖いのか不安げに俺を見つめてきた。


「大丈夫だよー。この人たちはお兄ちゃんのお友だちなんだぁ」

「......ひなき、」


俺が安心させるように頭を撫でてあげるとひなちゃんは小さくだけど自分の名前を言ってくれた。

ひなちゃんはひなきという名前らしい。


「なんかねぇ、お兄ちゃんと一緒に来たんだけどはぐれちゃったんだってぇ」

「...ひなきちゃん、お兄ちゃんのお名前わかる?」


俺が簡単に説明するとルイ兄は困ったような顔をしてひなちゃんにまた質問をした。


「...かなで」

「お兄ちゃん、かなでくんっていうの?」

「うん。ひな、かなちゃんときたの」


ひなちゃんは少し緊張が解れてきたのか少しずつ話すようになってきた。
お兄ちゃんの名前は「かなで」というらしい。

 


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