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「...はぁあ、」


ため息もつきたくなるよ、こんな格好させられたら。自分が自分じゃないみたいだし、自分で言うのもなんだが可愛い。


「伊織くん、準備できた?」

「できましたぁ」

「うん、可愛いわ。よく似合ってる」

「どぉも」


あんまり嬉しくないんだけどぉ、とりあえずお礼を言って田中さんに連れられて小部屋を出て撮影するスタジオに向かった。

ここから、俺は伊織じゃなくて「オリ」になる。


「モデルさん入りまーす」


田中さんに連れられてスタジオに入ると、殆どの人の視線が自分に向いていることがわかる。


「あれが噂のオリ?」
「めっちゃ可愛くない!?」
「レイくんの彼女って噂もあるよね...」


スタッフやカメラマンたちが口々に話しているのを聞きながら中に足を踏み入れると、俺に気づいたレイ兄が近寄ってきた。


「オリちゃん、可愛いよ」

「...嬉しくなぁい」

「そんなこと言わないで。撮影始まるよ」

「...レイ兄、後でパフェ食べたい」

「はいはい」


嫌々ながらもレイ兄に手を引かれてしぶしぶカメラの前に立つ。
あの学校にいるおかげで笑うのとか得意だし、さっさと終わらせてパフェ食べに行こう。



 


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