12
「伊織ちゃん、久しぶりね」
「レオさん、お久しぶりですー」
田中さんに連れられて誰も使ってない小部屋に行くと、レイ兄に連れられて来た俺をいつもメイクしてくれるお姉さんがいた。...ただしくはお兄さんなんだけど、
「レオ、伊織くんのことよろしくね」
「わかったわ。伊織ちゃん、とびっきり可愛くしてあげるわね」
「お願いしまぁす」
メイクさんのレオさんは見た目はとても綺麗なお姉さん。なんだけど、実は男でレイ兄たちと従兄弟だったりする。
「伊織ちゃん、最近来なくて寂しかったのよ?」
「しょうがないですよー。俺、学校ありますからぁ」
「学校なんかやめてモデルやっちゃいなさいよ。私、伊織ちゃんのためなら専属ヘアメイクになるわよ?」
「あははっ、遠慮しときまぁす」
レオさんだけじゃなくて田中さんもレイ兄もだけど、何故かこの人たちはやたらと俺にモデルを進めてくる。
そりゃ、レイ兄みたいにカッコいいモデルなら文句ないし、学校の合間にやってみたいなとは思うけどさぁ...
「はい、できあがりよ。ほら、これに着替えて」
「はぁい」
レオさんのその言葉に立ち上がって、簡易の更衣室みたいなところで渡された服を着た。
「...できましたぁ」
更衣室から出た俺は完璧に女の子。
メイクは元々タレ目なのを生かしてゆる甘になっていて、髪はミルクティー色のうち巻きのボブのウィッグ。
服装はTシャツにスウェット地のロングスカート、七分丈の赤いチェックシャツを羽織って前を縛った格好。
[ 127/157 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top