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車に乗り込んだレイ兄は運転しながら誰かと話していた。
会話の内容からしてたぶんマネージャーさんだと思うけど
「今から行くから。相手の子返しといてよ、代わり連れていくし」
「...え、」
大人しく窓の外に視線をやっていると、とんでもない内容が耳に入ってきて俺はレイ兄を見た。
「うん、大丈夫だから。えーと...後10分で着く」
レイ兄は俺の視線に気づいたのかにっこりと女なら惚れてしまいそうな微笑みを俺に向けると、電話を切った。
「レイ兄、どういうことー?」
「え?だめ?...俺、伊織ちゃんとじゃないとやる気でない!」
「目立ちたくないんだもぉん」
「お願い、伊織ちゃん!」
「...今回だけだからねぇ」
結局、俺は浪川家の人間に弱い。まあ、仕方ないことなんだろうけどね。お世話になってるし
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