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「それでさぁ、なんで藍のこと隊長って呼んでんのぉ?」
「もし、榎並様が室井を許した場合は僕の教育下に置くという条件だったからですよ。室井には僕の右腕として働いてもらうんで」
「そっかぁ...大変だね」
あれから教室にやって来て、普通に元マリモと話している俺を見て生徒たちは驚いたような顔をしていた。
それにしても、可哀想に。アイの右腕って実質アイの下僕じゃん。憐れ元マリモ
「あ、あのさっ...」
「んー?どうしたのー?」
「榎並、くんのこと名前で呼んでもいいか?」
「...君って俺のこと嫌いなんじゃなかったっけぇ?」
恐る恐る俺にそう聞いてきた元マリモに俺はそのことを思い出して首を傾げた。
すると、元マリモは慌てたように首を横に振って口を開いた。
「...嫌い、だったけど...あれは俺の我が儘で、今なら何でみんながいお、...榎並くんのこと選んだのかわかる...」
「ふふ、...いいよー。俺も君のこと勘違いしてたみたいだしぃ。これからよろしくねぇ。...えっと...」
そんな元マリモの様子が微笑ましく、俺はにっこり微笑んでそう言ったところで元マリモの名前を覚えていないことに気づいた。
「...ね、名前何だっけぇ?」
「覚えてなかったのか!?」
「ごめんねぇ...教えて?」
「室井 美空だ。よろしくな、伊織」
「うん。よろしくねぇ、室井くん」
名前を覚えていなかったことにショックを受けていたらしいが、俺が差し出された手を握ると元マリモ基室井くんは嬉しそうに笑った。
...ほんと、天使ね。この子
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