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「えっと...榎並、くん、ごめんなさい」
それからアイに一度頭を叩かれた元マリモはたどたどしい口調で俺に謝ってきた。
「...え、?」
「風紀委員長が伊織の好きなようにしたらいいって。許さないんだったらこいつにそれなりの処罰与えるから」
突然の謝罪に戸惑っている俺に説明するかのようにアイはそう言った。
つまり、今目の前で頭を下げているこの子をどうするかは俺の自由ってことか。
「もういいよー。アイにたっぷりお仕置きされたんでしょ?反省してるみたいだしねぇ」
「ほんとか!?」
俺がそう言うと、元マリモはあの大きな声でそう言って顔をあげた。
「あっ、1つだけぇ。大きい声出すの、止めてくれる?」
「...それ、藍...じゃなくて浪川くんにも言われた。俺、そんなに声でかかったか...?」
「うん。ちょっとねぇ」
「...わかった!頑張る!」
「うん、頑張ってねぇ」
ほんと、アイ様様だね。あのマリモがすっかり更正しちゃってるんだもん。何したの、この子。
「伊織と同じ経験を味あわせただけだよ」
「...え?」
そんな俺の視線を感じ取ったのかアイはあっさりとそう言った。
てか、俺と同じ経験って...
「こいつを捕まえるときに親衛隊の子使って強姦されるかもって雰囲気作ってやったの。まあ、本気ではやってないけど...それで自分のしたことに気づいたみたい」
「......」
もう、絶句。流石にやりすぎでしょ、アイさん。そりゃ、おとなしくもなるよね。
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