34
side.浪川 藍
「あーあ、いお行っちゃったっ」
「浪川くん、いいの?」
伊織が荒木に連れていかれたのを見送った後、皇が心配そうに僕にそう問いかけてきた。
「...伊織が嫌がってるなら全力で止めるけど、どう見ても荒木のこと受け入れてるし、これもいい傾向なんだよ」
僕のその言葉に二人はよくわからないというように首を傾げた。
「いおと藍ちゃんってずっと友達なんだよねっ?いおって昔からあんなだったの?」
すると頼がたぶん好奇心でなのだろう。僕にそう尋ねてきた。
...まあ、これくらいならいいかな。
***
伊織は昔はあんな馬鹿じゃなくて、もう少し大人しくて可愛い印象だった。
昔っていっても高校に入る前だから結構最近の話なんだけど...
「伊織」
「...アイ」
「僕さ、中学から全寮制の学校行くんだけど伊織も一緒に行かない?」
ある事件がきっかけで人と関わるのを避けるようになった伊織を僕はこの学園に入るよう勧めた。
伊織は一瞬戸惑っていたが、僕が入るというと頷いて一瞬にこの学園に入学した。
[ 113/157 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
top