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「な、なんだてめぇ!」
残った二人は少し驚いてるのか吃りながら相手にそう聞いた。
「あれ?3年やのに俺のことを知らんの?」
「・・・そ、その関西弁!」
「まさかっ・・・!」
「はいはい、ごめいとーう。ってことで、ご褒美にパンチやるわ」
男は笑顔でそう言うと容赦なく二人の男も倒し、俺の方に近づいてきた。
俺は慌てて捲し上げられた服を元に戻した。
「大丈夫か?」
「・・・あ、ありがとうございます、」
男は手を縛っていたのもほどいてくれた。
てか、俺ノーパンじゃん。俺のパンツは地面に捨てられていたからか泥だらけで履けそうにない。
「怖かったやろ?」
「・・・慣れてるんで平気ですよぉ」
まあ、嘘だけど。平静を装ってないと泣いちゃいそうだし。知らない人の前で泣くのはやだ。
俺はそんなことを思いながら、とりあえずノーパン嫌なので無事だったジャージのズボンを履いた。
「そうか・・・立てるか?」
「あ、・・・んーと、無理みたいです」
腰抜けちゃってるみたいで俺は力をいれて立ち上がろうとしたが、立ち上がれなかった。
「・・・立てるようになるまでここにいてるんで先行っていいですよぉ?」
「こういうときくらい人頼りぃ...んまに」
「わっ、・・・」
男は呆れたようにため息を吐くと、俺の膝裏と背中に腕を回して俺を抱き上げた。
「ちょっ・・・、」
「大人しくしとき」
男はそう言うと俺をお姫様抱っこしたままみんなのいる方に向かって歩き出した。
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