27
パーティーの会場になっているホテルに着いた俺たちは、一先ず庵兄たちが借りている部屋に向かった。
もちろん、俺が着替えるためだ。
「庵兄、メイク落とし貸して」
「はいはい」
俺はメイクを落として、この前黒神と買いにいったスーツに着替え、親睦会のときの同じカツラをつけた。
「・・・めぐみ、すっぴんも可愛いよね」
庵兄は着替えた俺を見ると、俺がつけているカツラを弄りながらそう言った。
「美少年、がしっくりくるな」
「まあ、俺ですからね」
「性格に難ありだが」
ほんと、章太郎さんはいつも一言多い。庵兄もこんな人のどこが好きなのか謎でしかない。
「それより、めぐみ」
「んー?・・・あ、セットしてくれたんだ。ありがとう」
「どういたしまして。・・・みーくんは見つかったの?」
庵兄は俺のカツラの髪をセットしてくれたらしく、さっきとは少し違う感じになっていた。
「あー・・・難しいよね」
「よく10年も一途でいれるよな」
「そういう章太郎さんと庵兄だって、もう10年くらいでしょ付き合って」
この二人は恋人って感じが一切しないけど、たぶん俺がいるからだろう。と俺はいつも思っている。
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