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「それより、このくまはなんだよ?」


充は野郎が二人寝ても十分余裕のあるベッドに俺と同じように寝転んで、俺のくまわ指差した。


「・・・それは、大切な人からのプレゼント」

「大切な人?お袋さんとか?」

「違う。俺の、初恋の人だよ」


俺がそう言うと、充は口をポカンと開けてアホ面で俺を見ていた。


「・・・なに、」

「おまえが初恋?」

「なにさ。笑いたければ笑えば」

「いや、笑わねぇよ。んで?そんなに大事なもんなのか?」


てっきり馬鹿にされるのかと思っていた俺は充の言動に驚いたが、そう聞かれて初恋の相手、「みーくん」のことを話した。


「みーくんとは家のパーティーで会ったんだけど、優しくてかっこよくていつも俺の相手をしてくれてたんだ。で、八歳の誕生日にこのくまのぬいぐるみを貰ったの」

「ふぅん?今は?」

「さあ?みーくん、家の用事で遠くに行ったらしくて会ってない。別れる時にコサージュを貰って、「次に会うときはそれが似合うようになれよ」って言われただけかな」

「・・・もしかして、それが女装のきっかけ?」


自分でも単純だと思うが、まさにその通り。幼い頃みーくんに言われたそれがきっかけで俺は今こんなことになっている。
まあ、可愛いのが好きってのも本当だからね。



 


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