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「・・・ねえ、先に荷物置きたいだけど?置いて行くよ」
静から水をもらって落ち着いた俺は海を見てはしゃいでいる黒マリモと、そんな黒マリモを見てはしゃいでいる馬鹿どもにそう言った。
別に置いていっても会長たちならそこらへんのホテルにでも泊まれるから大丈夫だろう、と思っていたが、黒マリモが必死になって俺について来ようとしていて、結局みんなで別荘に向かった。
「着いたよ」
海から五分も歩くと別荘に着き、俺は持っていた鍵で扉を開けた。
「・・・お手伝いさんとかいないんですか?」
中に入ると、電気も点いていないので真っ暗でまったく人気がなかった。
「ここは俺が一人になりたいときに来る場所なんでお手伝いさんとかもいないんです」
ていうか、まさかここに人を招くとは思わなかったよ。何年ぶりだっけ?
そんなことを思いながらも俺は中にみんなを案内して、勘でブレーカーのある場所まで歩いてブレーカーを上げた。
すると、電気が点き、久しぶりに見る別荘は昔と変わらずそのままだった。
誰かが時々掃除してくれていたのだろう。
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