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「ふう、充ありがとう」
「庵さんも相変わらずだな」
部屋についた俺たちは荷物を適当に置き、ソファーに腰を下ろした。
「庵兄は俺のこと愛してるからね」
「はいはい」
この荷物は俺の兄こと、花 庵が俺のために届けてくれた女装道具たちだ。
庵兄は『女の子を可愛くする仕事』をしていて、俺によく店で余っている服やメイク道具を送ってくれる。
今日、送られてきたのは夏物だ。
「旅行行くまでに送ってくれて助かったわ。じゃないと、俺着る服なかったし」
「まじで行くのかよ」
「会長と約束しちゃったし。あ、ちなみに来週からだから」
来週、つまり、夏休みが始まると同時に
俺たちは海へ行ってきます。
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