22
そして、翌日。
今日は一日遊園地の中で鬼ごっこ大会。
俺はバスに揺られて酔ってしまっているのを我慢しながら、昨日と同じように壇上に上がった。
「うえっ・・・、えー、今日はこの遊園地を使って鬼ごっこをしたいと思います。ちなみに鬼はクラスの出席番号が奇数の人で、事前に鬼の腕章が渡されていたと思うのでそれをしてください」
俺がそういうと、鬼の子たちがみんなポケットからわらわらと腕章を取り出して付けだした。
「ちなみに、一番最後まで逃げ切った子、一番多く捕まえた子、この園内に隠れている俺と夕陽を見つけた子には今夜の豪華ディナーにペアでご招待します」
俺がそう言った瞬間、今度は生徒たちが嬉しそうに騒ぎだした。
この騒ぎに乗じて、俺はマイクを相楽先輩にパスして、夕陽と遊園地のトイレに入った。
「えーと、とりあえず夕陽はこれに着替えて」
俺は夕陽に今とはまったく違う系統の服を渡し、俺も女物ではなくちゃんと男物の服を着た。
夕陽はわけがわからないといった様子で服を着ていて、俺はその間にメイクを落として髪を一つに束ねてネットを被り、その上から短い黒髪のカツラをつけてピンで固定した。
「めぐみ、着替えた・・・・・・て、めぐみ?」
「うん。メイク落として黒髪に変えるだけで印象変わるだろ?」
「うん、ビックリした。隠れるってそういう意味だったんだ」
「そうそう。じゃ、夕陽もこのカツラ被ってこの眼鏡つけてよ」
俺がそう言うと、夕陽は素直に茶髪で少しくせっ毛のカツラをつけ、黒ぶち眼鏡をかけた。
「うわ、僕じゃないみたい」
「夕陽、茶髪も似合うな」
「そう?めぐみも黒髪も短いのも似合うよ」
「ありがとう。んじゃ、そろそろ行くか」
俺たちは逃げる側の生徒たちが逃げているのにまじってトイレの外に出た。
[ 50/271 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
戻る