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「めぐ!」
「あ、充」
先輩に抱き上げられたまま食堂を出ると、後ろから充と夕陽が追いかけてきた。
「めぐも先輩もあんな公の場で紛らわしいこと言うのやめてください。ただでさえ、めぐには根も葉もない噂が出回ってんのに」
「ごめんね充」
「・・・まあ、いいけど」
俺は先輩から下りて、ぶつぶつと文句を言っている充に謝った。
充はなんだかんだ俺のことを心配してくれている。
「あいつ、喚いてたよ」
すると、充と一緒に追いかけてきていた夕陽が呆れたようにそう言った。
「なんて?」
「佐伯会長のこともだけど、「めぐって誰だ」って」
「あーあ、ちょっとややこしくなりそう」
あの子が頑なに人のことを名前で呼びたがるのは見ていてわかったから、俺はあえて名前を言わなかった。
向こうも俺の名前は「花」だとおもっていたらしいし
「ところで、先輩、今日はどうすんの?」
「明日、午後からだしめぐんとこ泊まる」
「じゃ、久しぶりに一緒に寝れるね」
まあ、寝るっていってもほんとにただ二人で寝るだけなんだけどね。
先輩は俺が嫌がることはしないって言って俺に手を出さないでくれている。
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