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じっと蘭さんの隣でその様子を見ていると、美人さんは不意に俺の方を向いた。


「・・・この子が帝の?」

「ええ、そうよ。めぐちゃんよ」

「・・・どうも、花 めぐみです」


美人さんの質問に対しての蘭さんの答えに少し苦笑いしながらフルネームで自己紹介をした。
すると、美人さんは黒髪の男と目を合わせてなにやら驚いたような顔をしてからまた俺の方を見た。


「お前が庵の弟か」

「は?庵兄のこと知ってんの?」


相手が丁寧な言葉をといたので俺もつい気が抜けてしまったのと驚いたこともあり敬語がとれてしまった。


「ああ。俺は月村 紫。ここの所有者だ」

「僕は成宮 京。ここの社員だよ」

「ちなみに今日お前にヘアメイクをするのが庵だ」

「・・・は?」


相手の簡潔な自己紹介の後の言葉に俺は思わず間抜けな声を出してしまった。


「とりあえず、あいつが来る前に着替えろ」


月村さんはそんな俺の様子を気にすることなく俺の腕を掴むとどこかに引っ張った。


 


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