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「んむっ...!?」

「しぃー、静かにしてて」


俺を曲がり角の部屋に引き込んだ人物は俺の口を塞ぐと、俺の耳元でそう囁いた。
俺はその声を聞いた瞬間に入れていた体の力を抜いた。


「・・・よし、行ったな」


その人は親父が部屋の前を通り過ぎたのを確認すると、俺の口から手を離して俺を前から抱きしめた。


「っ・・・庵にぃ、何でここにいんの、?」

「章太郎が調べてくれたんだよ。めぐみの相手が爽川の妹だって」

「・・・お前を助けたいって言ったろ?」


庵兄がそう言って見た方向を見れば照れくさそうに座っている章太郎さんがいた。
章太郎さんは俺と視線が合うと照れくさそうに目線をはずしてそう言った。


「めぐ、帰るだろ?俺がどうにかしてやるから章太郎と車で待ってな」

「え、?」

「大丈夫。俺がお前に嘘ついたことないだろ?」

「・・・ん、わかった」


俺が頷くと、庵兄は微笑んで優しく俺の頭を撫でた。
それから、俺は章太郎さんと一緒に庵兄たちが乗ってきた車に向かった。



 


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