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「お待たせいたしました」
しばらくすると襖の向こうから声がして着物を着た女の子と上品そうなおばさんが入ってきた。
入ってきた二人は俺たちの前に腰を下ろすと、親父の言葉で自己紹介をすることになった。
「初めまして。爽川 美夜子(そうかわ みやこ)と申します」
「っ・・・、」
俺は爽川という名前を聞いた瞬間、自分の体が不自然に揺れたのがわかった。
「こら、めぐみ。お前も挨拶せんか」
「っ、あ、はい・・・。初めまして。花 めぐみと申します」
愕然としていた俺は親父に咎められて弾かれたように自分の名前を伝えた。
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