部屋に戻った俺はそれから何をするでもなくもう一度ベッドに寝転んだ。
何もしたくなかった。誰とも話したくなかった。だからそのまま瞼を閉じた。


「めぐみ」


んだが、部屋に入ってきた人物の声によって覚醒させられた。


「ん・・・章太郎さん、なに?」


部屋に入ってきたのは庵兄の彼氏である章太郎さんだった。
章太郎さんは気難しい顔をして俺に近づいてくると、俺の寝ているベッドに腰を下ろした。


「お前、このままでいいのか」

「・・・いいのかって、俺が親父に逆らえると思ってんの?ここでこうやって過ごさせてもらえてるのに感謝しなくちゃいけないくらいなのに」


章太郎さんの質問についつい冷たい返事をしてしまったのは仕方ないと思う。
この人が庵兄と付き合わなければ俺はあのまま自由に過ごせていたはずなのだから。


「悪かったと思ってるからお前を助けてやりてぇんだよ」

「っ・・・優しくしないでよ。自分が惨めになるじゃん」


俺がそう言うと章太郎さんはもう一度悪いと言って俺の頭を撫でて部屋から出ていった。


 


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