夜になると親父が帰ってきて、俺は親父の部屋に呼び出された。


「何ですか父様」


しぶしぶ親父の部屋にやって来た俺は嫌な表情を隠すこともせずに親父にそう聞いた。


「ああ・・・お前もようやく花家の自覚が出てきたらしいな」

「・・・それだけのためにここに呼んだんですか」


親父は俺の短くなった髪を見ると、嫌味ったらしくそんなことを言ってきた。
俺の機嫌が急降下したのはいうまでもない。


「お前に婚約の話が来ていてな、明日お相手と顔合わせをすることになった」

「・・・は?何言ってんだよ」

「口の聞き方がなっとらん」

「・・・どういうことですか、父様」


つい言葉が砕けてしまい、親父は目ざとくそこをついてきた。
俺はもう一度言い直してそう聞いた。


「どうもこうもそのままの意味だ。お前は花家のために婚約してもらう」

「・・・俺はこの家を継ぐつもりはありません」

「口答えは許さん」


睨んでくる親父にこれ以上何を言っても無駄だとわかり、俺はもう何も言うまいと部屋を出た。



 


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