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「めぐ?」
「・・・・・・」
本部のテントに着いた俺の前には驚いたような顔をしている男が二人いた。
「一緒来て、」
俺はその男の内の一人の手を引いて、走り出した。
走り去るとき、チラッともう一人の男・・・みーくんを見るとみーくんは少し悲しそうな顔をしていた。
「っ、・・・」
俺はそれを振り払うように頭を振り、走るスピードを早めてゴールにたどり着いた。
「紙を見せてください」
ゴールにいた係りの生徒に言われて紙を見せると、係りの人は驚いたような顔をしてから「指示の通りにお願いします」と俺に言った。
『1位でゴールしたのは花会長だあ!!一緒にいるのは風紀委員長の片岡様です!いったい、花会長の指示は何だったのでしょうか!?』
またもや大袈裟な放送を聞き、チラッと周りを見るとほとんどの生徒が俺たちのことを見ているのがわかった。
「めぐ?何なんだ?」
「・・・充、好きだよ」
俺は周りの生徒たちに聞こえる声でそう言うと、充にしか見えないようにニッと悪戯っ子のように笑って充の唇の少し端にキスをした。
たぶん、周りからは唇にキスしてるように見えてると思う。
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