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「・・・なに、鷹野。手離してくれない?」
爽川は自分の手を掴んでいる相手・・・鷹野を睨むと、いつもの爽やかさの欠片もないほどの低い声でそう言った。
「うるせぇ。こいつに近寄んな」
鷹野は爽川にそう言うと、俺の手を引いて歩き出した。
気になって振り向くと、怖い顔の爽川がこちらを睨んでいた。
「ちょ、鷹野。お前、なにしてんの?」
「・・・花、あいつに近寄んな。あいついい感じしねぇ」
どうやら、鷹野は爽川に悪い感じがして俺をあの場から連れ出したらしい。
「ははっ、俺のこと心配してくれたんだ?」
「はっ!?ばっ、・・・ちげぇよ!!」
俺が少し茶化すようにそう言うと、鷹野は案の定顔を真っ赤にして俺にそう言った。
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