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『第ーー回、体育祭を開催いたします』
夕陽のその言葉で体育祭が始まった。
俺はあの日から化粧をするのをやめてすっぴんで生活している。制服も柊が支給してくれた学校の指定の制服をきている。
「っ、・・・めぐみ、!?」
生徒会本部のテントで夕陽が戻ってくるのを待っていると、久しぶりに見るみーくんがいた。
みーくんは驚いたような顔で俺を見ていた。
「あ、えっと・・・どうしたんですか、東宮先輩」
俺がそう言うと、みーくんはなぜか一瞬悲しそうな顔をした。
そういえば、最近学校でみーくんのこと見なかったな。なにか用事で校外にでも行っていたのだろうか。
「めぐみ、その髪・・・」
「え?」
「めぐみ?充たちのところ行くよ?」
みーくんが何か呟いたのが聞こえたが、すぐに夕陽が俺を呼ぶ声に遮られてしまった。
「あ、俺、夕陽に呼ばれてるんで行きますねー?」
「あ、おい・・・!」
みーくんはまだ何か言いたげだったが、俺はそう言って夕陽のいるところに向かった。
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