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「やっほー、鷹野。今日はマドレーヌだよー」
「っ・・・花!?」
あの後、黒神が置いていったハサミでなんとなく髪を整えて屋上に向かった。
案の定、鷹野は驚いた顔で俺の髪を見ていた。
「オマエ、その髪どうしたんだ!?」
「あはっ、ちょっとイメチェンだよー」
「イメチェンって・・・」
俺がヘラッと笑ってそう言うと、鷹野はそれを信じていないらしく怪訝そうな顔をしていた。
「・・・誰にやられた?」
「だからイメチェンだってばー。長いのに飽きたんだよ」
「言え。誰にやられた」
「やだな、ほんと自分で切ったんだよ。さっぱりしたかったんだ」
「そんな泣きそうな顔で言ったって説得力ねぇんだよ。言えよ、花」
あ、れぇ?俺、笑ってるつもりだったんだけどなー・・・笑えてなかったの?
鷹野が俺の目元に手をやって涙を拭う仕草をしたのを見て、俺は自分が笑えていなくて泣いてることに気づいた。
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