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そんなこんなで、体育祭を間近に迎えたある日のことだった。


「疲れたー、散歩行ってくるー」

「あ、こら!めぐみ!」


会長の仕事って会計の時の倍くらいあるんだよ?もともとサボり魔だったのにこんなに仕事やってらんないよー


いつものごとく俺は怒っている夕陽を無視して生徒会室から逃げた。もうこれはいつものことなので他の役員もあまり気には止めていないようだ。


「さて、寂しがってる一匹狼くんにおやつ持っていってあげなくちゃね」


あの日から俺は毎日ではないが、生徒会室から逃げては屋上にいる鷹野に会っていた。生徒会室から適当におやつを持って。ちなみに今日はマドレーヌだ。


グイッ・・・!


鼻唄を口ずさみながら廊下を歩いていると、いきなり腕を引っ張られて空き教室に入れられた。


「うわっ、・・・たぁ、なにすんのさー」

「めぐみ!なんで俺のいうこと聞かねぇんだよ!」


そこにいたのは久しぶりに見る黒神だった。その手にはハサミが握られており、俺は反射的にやばいと感じた。


「あ、の・・・なにしてんの、」

「めぐみは親衛隊たちに言われて女装止められないんだよな!!俺が止めさせてやるよ!!」

「はぁっ、!?ちょ、やめてよ!」


黒神はなにを思ったのかハサミを片手に俺に近づいてきた。
ていうか、さっき引っ張られた衝撃で足捻って痛いくて逃げれないんだけど・・・


「俺はめぐみのことわかってるからな!!」

「やっ・・・やめろっ、!!」

「照れなくていいぞ!!」

「お願いっ、・・・やめてよ!!」


黒神は俺の願いも空しく、ジャキジャキと必死に伸ばしてきた俺の髪を躊躇なく切り始めた。


「これでめぐみは女装やめれるだろ!!」

「・・・っ、」

「別に感謝とかしなくていいからな!」


黒神はそう言うと、呆然としている俺を気にすることなくそこから立ち去った。
俺の周りには黒神が残していったハサミと切られた無惨な髪の毛が落ちていた。



 


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