10
「充」
風紀室の扉を開けると、忙しそうに何かに目を通している充がいた。
その横には前委員長の相楽先輩もいた。
「夕陽?どうかしたのか?」
「いや、めぐみのことなんだけど」
「めぐ?アイツしばらく生徒会室に引きこもるって言ってただろ?」
僕の言葉を聞いた充は、キョトンとした顔でそう言った。
充のその言葉を聞いた瞬間、僕はとてつもなく嫌なものを感じた。
「・・・僕、めぐみに体調悪いからしばらく休むって言われたんだけど・・・」
「っ、!!」
今、自分が考えている嫌な予感を振り払うように僕がそう言うと、充はいきなり立ち上がってどこかに走り出した。
「ほら、松浪弟くんも行くで」
「っ、はい、」
呆然と動けないでいた僕は、相楽先輩にそう言われてようやく充の後を追うことができた。
[ 151/271 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
戻る