10
親父が教室から出ていった瞬間、俺はその場に崩れ落ちた。
「・・・、めぐ!?」
「めぐ、大丈夫か?」
そんな俺に真っ先に駆け寄ってきたのはみーくんと銀先輩だった。
「っ、大丈夫だよ。ちょっと、疲れたけど」
「よく頑張ったな」
俺がヘラッと笑うと、庵兄がそう言って俺を抱きしめて頭を撫でてくれた。
「庵兄、ありがと・・・昨日の内に教えてくれてて」
「めぐの役に立ててよかったよ」
そう。庵兄は父様が今日ここに来るかも知れないと思い、俺を心配してやって来てくれたのだ。
「・・・なあ、めぐ、その髪、」
「え?ああ、これもカツラだよ」
みーくんがあまりにも驚いたように俺の髪を見ていたので、俺はつい笑ってそう言い黒髪のカツラを取った。
そこにはやはり、あのふわふわの髪が。
「そりより、みーくん。お腹空いたから食堂行こうよ」
「え?あ、ああ・・・」
「今日は何食べようかなー」
俺はそう言ってみーくんの手を引いて教室を出た。
そんな俺の後ろ姿を見ている人物がいたとは知らず、
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