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「っ、・・・」
教室に着いた俺を待ち受けていたのは、この世でもっとも会いたくない人だった。
「オマエは久しぶりに会う父親にまともに挨拶もできないのか」
会いたくなかった人物・・・父様は呆然と固まっている俺を見て嫌みったらしくそう言った。
「っあ、・・・お久しぶりです、父様」
「ふん・・・だいたいなんだその格好は」
「これは文化祭の衣装ですよ。もちろん、この髪もカツラですから」
自分でも上手くしゃべれているのかよくわからなかった。
ただ、頭の中はどうして父様がここにいるのかということを考えていた。
「はっ、どうだかな。オマエの言うことなど信じられん」
「っ・・・、」
じゃあ、こんなところわざわざ来るんじゃねぇよ。と思ってしまったのは仕方ないだろう。
「親父。そんなことより何しに来たんだ?」
「・・・ああ、庵か。父親が息子を見に来ることの何が悪い」
「めぐみはちゃんと学園生活を送ってるよ」
すると、俺が困っていることに気づいたのか庵兄が俺と親父の間に入ってそう言った。
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