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「あれ、副会長帰ってきてたんだ」
戻ると副会長が帰ってきていて、それもなぜかいつもの貼り付けた笑顔ではなく、心からの笑みで座ってらっしゃる。
そんな副会長に、会長も双子も悪いものを見たような顔をしていた。
「あ、副会長の分淹れてないから淹れてくるね」
「いいですよ。それぐらい自分でやりますから」
「・・・え、」
俺は副会長の信じられない発言に目を丸めた。
・・・今、自分でやるって言ったよねこの人。普段なら「仕事をして帰ってくる人の分くらい用意しておきなさい」って怒るはずなのに・・・
「・・・副会長、何かいいことあった?」
そう思った俺は、ふいにそう副会長に聞いていた。
すると、副会長は待ったましたと言わんばかりに目を輝かせて話始めた。
「大和がね、ものすごく可愛いんです。私の愛想笑いも見破ってくれて、「無理に笑わなくてもいい」って言ってくれたんです」
あまりにも副会長が嬉しそうに話すもんだから、何かと期待していたのだが、それだけのようだ。
「・・・え、それだ「ふぅん。お前がそんなに気に入るなんておもしろそうな奴だな」
「僕も会ってみたいー!」
「僕も、ちょっと興味あるかも」
「・・・見たい、」
え?嘘。みんな興味あるの?
つまらないって思ったの俺だけ?
まあ、可愛いってワードには反応したよ?だって、滅多に可愛いって言わない副会長が可愛いって言ったんだもん。
俺がそんなことを思っていると、いつの間にか昼休みに食堂に行くという話が決まっていた。
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